同志社大学 良心学研究センター

目的

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本研究センターは、現代世界における「良心」を考察し、その応用可能性・実践可能性を探求することを通じて、学際的な研究領域として「良心学」を構築し、さらにその成果を国内外に発信し、新たな学術コミュニティを形成することを目的とする。

現代社会では様々な問題が生じているが、それは今日の私たちが「良心」から遠ざかっているからではないか。国際政治、宗教、社会福祉、科学技術など、現代社会の諸領域において人類の、そして私たち一人ひとりの良心が問われているのではないか。幸い同志社はその建学の精神として「良心」を中心とする教育理念を有してきた。そこで、これまで同志社が培ってきた良心教育を土台としつつ、広く学問的検証に堪えることのできる「良心学」の構築を本研究センターは目指す。世界の困難な現実と付き合わせる形で、旧来の「良心」理解を鍛え直し、「良心」のグローバルかつローカルな応用・実践の可能性を探求するために以下のような研究テーマを設定する。

(1)同志社教育にとって「良心」とは何か(基礎的・歴史的探求)
(2)「良心」は現代社会にどのように適用可能か(応用的・理論的探求)
(3)「良心」は日常生活や社会生活の中でどう活かされるべきか(実践的探求)

これらの研究を遂行していくために、宗教学(一神教研究を含む)、国際政治、社会福祉、教育史、エコロジー経済、国際ビジネス、心理学、国際生命倫理、科学倫理などの学際的な視点を駆使し、既存の学問領域を越境する力として良心学を構築していく。また、それは本学が目指すべきリベラルアーツ教育に対する学問的・方法論的基盤を提供することにもつながっていく。

本学の良心教育の基礎にあるキリスト教主義の意義を現代的文脈の中で再活性化するためには、他の宗教との関係、とりわけ欧米において見られるようにイスラームとの関係を無視することはできない。寛容や平和の構築に寄与する宗教的・道徳的価値を提示することは、価値観の相違によってテロや紛争が引き起こされている現代において急務の課題と言える。

本センターは、その研究成果を広く社会に還元していくことを目的とする。本学(および法人諸学校)の学生(外国人留学生を含む)・教職員・校友そして一般市民が、良心学の目指す知的ネットワークに関わることができるよう、良心学入門などのテキストや、同志社が輩出した思想家・社会事業家たちの現代的意義を問い直すブックレットのシリーズを刊行する(基礎的なものは英語でも刊行)。